たった一つのお願い
「そう言えば先生、今日宮ちゃん来ないねー」
恐らく祐司が手を回してくれたのだろう。
話は紆余曲折したが、当初の目的は俺が告白することだったからな。
「今日は…二人きりで良い」
「……先生、そろそろ仕事なんじゃない?」
ハァ――…
ムードも全くあったものじゃない。
どうしてこうも昼休みは短いんだ。
今日程にこんなにも恨めしく思った日は一度もない。
「じゃあ、春陽が俺を呼び捨てしてくれたら行く」
「え……私が呼ばなかったら困るのは先生じゃないの?」
「だから呼んで」
今まで散々自分の名前を嫌悪していたくせにな。
恋をすると人はここまで変われるものなのか。