たった一つのお願い


そうして約束の日が来てしまった。


最近、寝不足だから酷い顔だろうが仕方ない。



服を着替え、スーツを着用し、歯を磨き、目の下の隈は…仕方ない。
とりあえず髪を整え、10分前には着くよう家を出る。


俺は今日は早めに切り上げて家へ一旦帰って来ていた。本来はそのための病院での居残りである。……春陽の件は特典みたいなものだ。



俺は目薬を気休め程度にさして、家を出た。


腕時計で時間を見ると充分に余裕はある。




――さぁ、本番はこれからだ。
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