たった一つのお願い
「チッ……」
居なかった。
家にあまり遅くならない程度に訪問したのだが、インターホンを鳴らしても出ない。
窓からは明かりが点いているから、居留守を使われているのは確実だ。
俺の顔をドア越しに確認して態とそうしているのだろう。
どうやら絶対俺に会う気はないようだ。
今は遅くないと言っても夜だから、大声を出して騒げば近所迷惑になる。
……こうなったら、仕方がない。
ここまで来たら意地だ。
確実に明日は会って話をしてやる。
ここまで俺にさせた奴は初めてだ。