たった一つのお願い
「宮ちゃん」
俺は昼休み。
今日も宮ちゃんに会いに来ていた。
祐司は忙しいので捕まらない。いつも夜に電話して様子を聞いているだけだ。
だからこの一週間、宮ちゃんに毎日のように会いに来ている俺は案の定噂の的だ。宮ちゃんには本当に申し訳ないと思っている。
俺がかなりの年上好みとか、患者さんに次々手を出しているとかならまだ良い。
だが、宮ちゃんが俺をたぶらかしている下劣な女だと言われるのは度が過ぎている。見つけ次第注意しているのだが、それは油に火を注ぐ結果にしかならなかった。
だけど。
「あら先生。今日は会いに行かれるんじゃないんですか?」
「すみません。今日までダメです。俺、今から早退するのでその前に宮ちゃんに様子を聞こうと思ったんです」
「相変わらず先生に会えないからって寂しがっていますよ。口には出してませんけどね」
だけど彼女はいつも俺に優しい笑顔で嬉しい言葉を言ってくれる。