たった一つのお願い
「宮ちゃん、今度何かお礼します」
「いいえ。気にしないで先生は頑張って下さい」
俺は頭を下げ、去った。
本当に何かしないとな…
しかし何をすれば良いのだろうか?
人にプレゼントなんて贈ったことがないから分からない。
今日は昼に早退して家で春陽の父親が帰って来る前に家で張り込む事にした。
あながち祐司がストーカーだと言っていたが…間違ってないかもしれない。
春陽の手術説明会まで二週間を切った。
それまでには何としても認めてもらいたい。
仕事はまた溜まるが捗らないならやっても同じだ。
仕事に出かけているから、夜には帰って来るだろう。
俺は家の傍で暫く本を立ったまま読むことにした。