たった一つのお願い


「――…ねぇ、理央」



「何だ?」



「手術で私が髪の毛バッサリ切っても理央は私を好き?」



「当たり前だ。それで嫌いになるくらいなら、告白なんてしていない」




そんな半端な気持ちなら、一生抱えたままで良かった。




「ふふふっ…そっか。私は幸せ者だねー
こんなに誰かに愛されるだなんて女性の本望だから」




理央イケメンだし、と彼女は冗談ぽく呟いた。




「俺も幸せ者だよ」




春陽と出会って、こんなにも世界は明るいのだと気づかされたのだから。
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