たった一つのお願い
「――以上で説明は終わりますが、本当にこちらの方法でよろしいですか?」
俺と春陽、彼女の父親の三人は個室に呼ばれ、話を受けた。
何とも奇妙な光景だが…春陽は納得しているようで。彼女の父も娘がそれを望むなら…と了承していた。
「三神さんは?
何かご不明な点でも?」
祐司の説明は、俺に有無を言わせない程完璧なものだった。
手術内容は勿論の事、時間、リスク、身体への影響、全てを事細かに説明してくれた。
だから俺から言う事は一つしかなかった。
「いえ…春陽を宜しくお願いします」
俺は、頭を下げ震える彼女の手を握りながら言った。
もしかしたら、俺が震えていたのかもしれないが。