今日、君にさよならを告げよう
好きの呪文
「おーい。和馬、帰ろうぜ」
隣のクラスの浩樹が、教室のドアからひょっこりと顔を出した。
浩樹の後ろには、2,3人の男子の姿が見える。
いつも一緒に帰っている、浩樹のクラスの奴らだろう。
最近はあまり浩樹と一緒に帰ることもなくなってしまったので、名前も定かではないが。
「先に帰ってて」
「……そっか?じゃ、また明日な」
半ば予想していたのだろう、僕が断ってもそれほど気にした様子もなく、あっさり浩樹は引き下がった。
家が隣同士の浩樹とは幼稚園からの付き合いで、中学3年生になった今でも仲が良かった。
お互い部活を引退してからは、よく一緒に帰っていた。
……浩樹と一緒に帰らなくなって、もう1ヵ月以上経つのか。
月日が経つのは早いものだ。
もうすぐ、今年が終わる。
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