今日、君にさよならを告げよう
外に出ると、見事な雪景色。
僕は吹きつける風に思わず身体をすくませて、首に巻いたマフラーに口元をうずめた。
寒過ぎて、空気が冷た過ぎて。
息をするのが、痛い。
「ふふ。そんなに寒い?」
菜月が隣で笑った。
「寒いに決まってんだろ。覆面かぶりたいくらいだ。目出し帽とか」
「それは怪しすぎるよー」
あはは、と菜月が笑う。
白い景色に溶けてしまうんじゃないかと思うくらい、白い肌。
掴んだら折れてしまうんじゃないかと思うくらい、細い手足。
染めたわけでもないのに茶色く細い髪が、風に煽られ揺れていた。
「ねぇ、和馬」
「んー」
ざっくざっく、と雪かきの間に合っていない雪深い歩道を歩きながら、菜月の言葉に訊き返す。