今日、君にさよならを告げよう
「あのね。……私のこと、そんなに大事にしなくていいんだよ」
後ろで呟かれた言葉に、僕は思わず足を止め振り返った。
……いきなり、何を言い出すんだよ。
「どういう意味」
「だって、最近全然浩樹と帰ってないでしょ?もうすぐ卒業なのに、もったいないよ。私、本当に皆と一緒でも大丈夫だから」
菜月は、そう言ってふんわり微笑んだ。
……泣きそうな、笑顔だと思った。
「…バーカ。お前はそんなこと気にしなくていいの」
「でも…」
「……それよりさ、今日、菜月の家行くから」
この話はおわり、そう言う意味で僕は強引に話を変えた。
すると、菜月は驚いたように僕を見る。