今日、君にさよならを告げよう
「…え、なんで……」
「なんで、じゃないだろ。…忘れたの?」
僕の言葉に、菜月は一瞬困ったような顔をしたけれど、すぐに「あ」と呟いた。
「……そっか。そうだよね。今日は、紗月の四十九日だもんね」
そう言って、悲しげに目を伏せた。
……ああ。
こんな顔をさせたくて話を変えたわけじゃないのに。
……僕は結局、菜月を悲しませることしかできない。
紗月。
菜月の、双子の妹。
「……なんで、私じゃなかったんだろう」
「……は?」
菜月は。
笑っていた。
思い切り、目に涙を溜めて。