純~Love Story~愛
「おとうさんは?」

「陸が寝てから来るんだって。
おばちゃんたちが言ってた。
寝ないように頑張ってるんだけど……」

「おとうさん一生懸命お仕事しなきゃね。」


寂しそうな陸の気を紛らわせようと
絵を書いたり本を読んだり

陸の嬉しそうな顔が胸につく。


おかあさん 早く戻ってきてくれないかな

陸がかわいそうでたまらない


本を読み終わる前に陸は眠ってしまった。

可愛い陸

体に布団をかけて スケッチブックに絵を書いた。


字が読める陸に


たくさんあいにくるから がんばって
はやく なおしてください。


あどけない顔をしているのに
この心の中にはいろんなものを
抱えている。

心細いのに 回りの子たちには
母親がしっかりついているのに どうしてって
陸は思っているだろう。


「どうぞ よろしくお願いします。」

同室の母親たちに頭を下げる。

「はい まかせておいてください。」

母親たちの笑顔

陸にも早くこんな笑顔を見せてあげたいな。

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