純~Love Story~愛
根ほり葉ほり聞かれたけど
うまく話をまいて スタンバイ前の Kei が
ギターを鳴らした。

優しい音色
そして 聞こえ出した 甘く優しい歌声


思わず聞き入ってしまった。


「Kei って俳優だよね~歌うまいね~~。」

忍先生がそう言った。

「そうですね。」

「神さまは 不公平ね~だってこんなに
素敵で演技も歌を上手で……。」


切り替えが早いとこも・・・・
冷酷なとこもあるけどね・・・・。

優しい歌だった。

昔聞いていた 佳真の声よりずっと
低くて男らしい声だった。


背も伸びたし 髪の毛も長くて
細マッチョだった体は見るからに逞しさを想像できた。


「芸能人になるべくしてなった子ね。
札幌出身って言ってたけど まさかこんな近くに
Kei の制服姿を知ってる人がいるなんて狭いね~。」


歌のフレーズにドキンとした。
幼馴染の恋が終わった……悲しい歌だった……。


Kei はやっぱり 佳真じゃない……。


本番が始まるとそれがてきめんに伝わってくる
遠い世界の人・・・・
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