愛屑-短編集-

休日は２人で

「ねぇー…。」


アタシの彼氏はとにかく意地悪だ。


「ねぇ、聞いてる？」


アタシが話しかけても


「聞いてないよ」


全く聞いてくれないくせにアタシが黙ると


「静かでつまんない。なんか話せよ。」


文句を言うの。


久々に２人の時間が合ったのにどこかに連れて行ってくれるわけでもなく彼の家にいるだけ。
せっかく一緒にいるのに彼はゲームしたり雑誌を読んだり。


つまらないから携帯いじっているとアタシの携帯とりあげて、なんか話して？って。


意地悪なうえにわがまま。


軽くため息をつきトイレにでも行こうとソファーから立ち上がると隣に座っていた彼に手をつかまれる。


「ちょっと離して？」


アタシの手をつかんでいるくせに目線は雑誌。
しかもシカト。


「もう……何？」


にらみながら彼を見るとやっと顔を上げアタシを見た彼は思いっきりつかんでいたアタシの手を引っ張った。
急なことでわけもわからないまま彼の方に倒れる。


「ちょっと、もうバカ！何すんのさー！危ないでしょ？」


文句を言うアタシを見て楽しそうに笑う彼。


「んー？だってどっかに行こうとするから。」


オマエが悪い、と彼はアタシの髪をなでながら言う。


「せっかくの休みなんだから俺から離れんなよ？」




休日は２人で
(意地悪でわがままで)
(アタシのことが好きな彼が大好きなんです)