愛屑-短編集-

ちっちゃな幸せ


仕事が終わり家に帰りお風呂に入る。
すぐにのぼせてしまうし浴槽を洗う元気はないからシャワーで軽くすませる。


冷蔵庫から冷えたビールをだしてソファーに座りテレビをつける。
たまたまやっていたニュースをぼーっと眺めるとなんだか色々とっても大変らしい。



深刻そうな顔をして話しているけれど私にはまったく伝わってこない。
ニュース番組なのになんでタレントさんが出ているのだろう。
この番組で一体いくら貰えるのだろうか。
きっと私の何ヶ月ぶんものお給料を1日や2日で稼いでいるんだろうな。
やっぱり顔がいいだけで人生得してるよね。


なんて考えてたら後ろからひろゆきさんが近づいてきて私の隣に座る。


「何見てんの?ニュース?」


そう言いながらひろゆきさんは勝手に番組をバラエティーにかえてまたまた勝手に私の飲んでいたビールをとりあげて飲む。


新しいの持ってきて飲めよって意味を込めてにらむと口を拭いながらニコッと笑い勝手にキスをしてくる。
触れる程度の軽いキス。


「疲れた顔してるね。嫌なことあったならグチってもいいよ?」


やっぱり勝手に私の頭をなでながらそう言うひろゆきさん。


「…別に。眠いだけ。」


目も合わせず無愛想に答える私を見てひろゆきさんはかわいいなと言いながら再び私にキスをする。




ちっちゃな幸せ
(こんな私でも好きでいてくれる人がいる)
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