キャラメル
『あのさ、ずっと前もさ、私、肉まん食べたいって言ってわざわざ一緒に行ったよね。』
「そうそう。肉まん1個しか無くて俺あんまんだったよな。俺も肉まんがよかったのに。」
『ふふっ…』
彼の手は暖かくて、大きくて、優しい感じがした。
『今日は満月だね。』
「バカ。ちょっと欠けてるって。」
『え〜?満月だよ〜』
「ちょっと欠けてるって。」
彼は繰り返した。
そんな他愛のない話をしている幸せ。
私はこの人を選んでよかったなって思う。