キャラメル
私は口にキャラメルを放り込む。
懐かしい感触とまだ薄い甘さのキャラメル。
少し噛んでみた。
『固っ』
「最初固いよな。」
これが…私?
そうだ。
何事にも心を閉ざして固かった私。
懲りずに噛み続けると、キャラメルは形を変え、甘味が出てきた。
初めて彼に会った時私は不思議と素直になれた。
『ねぇ、なんであんたは私と付き合ったの?』
「カッコイイって思ったから。」
『カッコイイ?』
「俺弱っちい女嫌いなんだよ。」
…そっか、コイツ変だったのか。
『私は強そうに見えたの?』
「うん。」
彼は間違ってる。
私は弱いんだ。
誰よりも。
人を愛する勇気を持っていなかったから弱さを隠しただけ。
心に鎖をつけて、体を鎧で守り、
全てに対して逃げてただけ。