キャラメル


私は口にキャラメルを放り込む。


懐かしい感触とまだ薄い甘さのキャラメル。


少し噛んでみた。


『固っ』


「最初固いよな。」


これが…私?



そうだ。


何事にも心を閉ざして固かった私。


懲りずに噛み続けると、キャラメルは形を変え、甘味が出てきた。



初めて彼に会った時私は不思議と素直になれた。


『ねぇ、なんであんたは私と付き合ったの?』


「カッコイイって思ったから。」

『カッコイイ?』


「俺弱っちい女嫌いなんだよ。」



…そっか、コイツ変だったのか。


『私は強そうに見えたの?』


「うん。」


彼は間違ってる。


私は弱いんだ。
誰よりも。


人を愛する勇気を持っていなかったから弱さを隠しただけ。


心に鎖をつけて、体を鎧で守り、


全てに対して逃げてただけ。


< 6 / 9 >

この作品をシェア

pagetop