ももの天然水
今しかない。

「紗優!」

紗優の足がとまる。

「すこし話さない?」

小さくうなずく。

教室に入り、イスに座る。

「…紗優。俺のこと、好き?」

横に首をふる。

「じゃあ、嫌い?」

また、首を横にふる。

「なにも知らなくてごめん。でも、紗優が好きだ。やり直せないかな?」

「…ごめん。それは、」

「俺のせいだよな。紗優は、受験があるのに。自分のことしか、考えてなかった。でも、好きなんだ。」

「…ごめんね。うちもなんにもわかってなかった。でも、友哉くんを傷つけたくない。」

紗優の目から涙がこぼれる。

「紗優。…俺の彼女になってくれますか?」

「でも、」

「無理しなくていい。ゆっくりでいいから、また、俺を好きになって。」

涙を拭いながら、“うん。”とうなずいてくれた。

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