ももの天然水
「その人、彼女いるから。だからね…」

いつもの笑顔とは、違う笑顔が浮かんだ。

「奪うの、松嶋先輩から。」

紗優の名字。

「あたし、知ってるんだ。先輩がレイプされそうになって、ナイフで刺されたこと。」

なに言ってんだ、こいつ。

「それが原因で、男性恐怖症なんでしょ?」

ガシャン――

「それ以上言うな。」

凛を睨みつける。

「じゃあ、あたしと付き合って。先輩と別れなくてもいい。」

怒りと凛の言葉で頭ん中が真っ白になる。

断ろうとしたが、凛の言葉が遮った。

「いいの?全部言っちゃうよ。」

紗優を傷つけるわけにはいかない。

「…わかった。」

俺がそういうと、凛の笑顔は戻った。

「明日から、いっしょに登校しようね!」

「…わかった。」

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