ももの天然水
「そんなこと聞かれると、男って勘違いするんだよね。わかる?」

紗優がかすかに震えてることに気付かなかった。

「わかんない。男じゃないもん。」

「そっか。じゃ、わからせてあげる。」

ゆっくりと顔を近づける。

自分が暴走していることに早く気づいていれば…。

「……嫌…やめて…」

「え?」

「嫌だ…怖い……。」

頭ん中が真っ白になった。

紗優がこんなに震えていたのに…。

我に帰った時には、遅かった。

「いやっ!触らないで!」

胸に突き刺さった。

触れちゃいけない。

俺には、紗優に触れる資格はない。

「…蓮…たすけて。…怖いよ…」

「蓮先輩?ちょ、ちょっと待ってろ、呼んでくるから!」

非常階段を上り、3年生の教室へ走る。

なんで、蓮先輩なんだよ…。

そんな気持ちも持つ資格なんてない。

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