addict
「おはよう、朔。起きて」
身体に繋がった意識で、瞼を開ける。
「……玲?」
視界いっぱいに広がるのは、夢で聞こえた声の持ち主、玲(アキ)の柔らかな笑顔。
「おはよう」
「……また、私の部屋に勝手に入ってる」
ムッとした表情で言うと、玲は小さく笑った。
「梅さんが朝ごはん出来たって」
毎朝毎朝、欠かすことなく私を起こしにくる幼なじみに、少し非難の目を向ける。
いくら掛け算が出来るようになる前から一緒にいるからといって、女子高生の部屋に無断で入るのはどうかと。
玲はそれに気付かないフリをして、腰掛けていた私のベッドサイドから立ち上がる。