addict
「いいじゃないの。玲君は御両親がまだ海外から帰ってないのだから」
祖母が私にお茶を渡しながら穏やかに言う。
玲の両親は国際弁護士で日本にはいない。
というか、私は二人を見た事がない。
玲の家にはお手伝いさんのイメージがある。
「そうそう。それに、梅さんのご飯は美味しいし」
「あら、ありがとう」
玲が便乗して頷く。
褒められた祖母は、嬉しそうに笑った。
確かに、祖母の作る料理は美味しいが。
「だからって毎日来なくても……」
私の呟きも定例化しているような気がする。
「朔、早く食べないと遅刻するよ」
玲は素知らぬ顔をして言うのだった。