犯罪コレクターの独白
午前八時頃、起床して階下に向かったのだが、母が恐ろしい顔をしていた。

珠希はまだ寝ているらしい。

「どうかした?」

恐る恐る、尋ねてみる。

「ちょっと探し物をしていた時に、お父さんが集めていた古雑誌が積まれていたのが崩れたの。そうすると、これが……」

桜のような、薄桃色の封筒を差し出され、受け取る。

『名護秀夫様』

父宛のものだ。


母と視線を合わせると、頷いた。

そっと、私は中身を取り出して読み始めた。

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