犯罪コレクターの独白
深夜に訪ねるのも迷惑千万な話だと思い、私は近所の公園で時間を潰すことにした。


空の黒を背景に、はらはら、と軽やかに散っていく桜。

黒と薄桃色のコントラストに魅せられた私は、公園のベンチに腰掛けて木を眺めていた。

風が吹き、髪が私の額を隠す。

頭を振り、私は髪の位置を元に戻した。

――優しい風だった。

まるで桜が美しく舞うのを手伝おうとしているかのような、穏やかな風だ。



ずっと見ていても飽きないようだったが、午前九時頃に私はベンチから腰を上げた。

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