犯罪コレクターの独白
本当は、紙幣を奪う人間どもの様子を見て、嘲笑うことが私にとっての彼らへの『復讐』となるはずだった。


しかし、残ったのは虚無感だけだ。

『復讐』は、失敗に終わった。

何十日間も人間になったにも関わらず。

今日でなれる日数は二十日間増えたが、もう二度と私は人間へと化すまい、と決心する。


空っぽの心を捨て切れぬまま、私はその場から立ち去った。

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