犯罪コレクターの独白
無性に虚しくなった私は、窓から身を乗り出して、空を仰いだ。

儚くなるぐらい、淡く、薄い青が広がっている。

飛行機雲のような、軌跡一つ残っていない。

その薄い青を突き破ってしまえる気がして、腕まくりをした私は手を伸ばす。

勿論、空に手が届くはずはない。


ただ、左腕に残る軌跡――幾つもの注射の痕――が、陽光を浴びて、眩しそうに目を細めているだけだった。

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