犯罪コレクターの独白
珠希が幼稚園へ行き始めた頃、自室の階下で母が発した言葉が蘇る。

「珠希、外では一人っ子ということにしておきなさいね」

「どうして?」

目を真ん丸にして尋ねた珠希の表情も、想像できる。

「お兄ちゃんが病弱なのは可哀相って、珠希までも『普通』じゃない扱いを受けたら嫌でしょ?」

「……そうだね。分かった」

これはただ、私が透明人間だという事柄を隠すための手段だったのだが、現在でも珠希は『一人っ子』として外で振舞っているようだ。

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