犯罪コレクターの独白
「実際、十五年弱前に名護さん宅へ伺った時は、人間として行ったよ」

記憶を糸を手繰り寄せながら、なぜか切なそうな別所さん。

「そうですか。だからといって、別に人間にならなくてもいいんですよね?」

「勿論、それは個人の自由だよ。でも、必ず常時左腕にしておいて欲しいんだ」

こんな趣味の悪いものを、という思いが表情に出ていたのか、別所さんはクスリ、と笑う。

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