恋愛事情。
「今から来る?」
『んー、面倒臭い』
「そう、分かった。何時頃に帰ってくる?」
『夕方』
「じゃあ、帰る頃にまた連絡……って切れちゃった」
携帯をテーブルの上に置くと、彼女が私に食い入るように質問をしてきた。
「ねぇ、悠斗くんどうしたの?」
「あぁ、ごめんね。用事ができたみたいで……」
「……用事? 信じらんない! 何日も前から約束してたじゃん!」
「うん、ごめんね」
「ねぇ、伊織(いおり)。なんでそんな男と付き合ってるの?」
――あぁ、電話したせいで、アールグレイが冷めてる。
ここのカフェ、なかなか来ないけど美味しいんだよね。
「私だったらそんなドタキャン男、速攻別れるね!」
――あのケーキ、果物がいっぱいで美味しそう。
あ、ショートケーキもあるんだ……今度もう一回悠斗を誘ってみようか。
喜ぶかな?
「ちょっと聞いてるの!?」
彼女は興奮してか、ダンッと机を叩いた。
最悪。
ちょっと溢れた。