ミタマシズメ
シーン1.飛行機
大阪への出張の帰り道だった。
ほんの一時間足らずのフライト。
私は荷物を預け、疲れた身体をシートに凭れかけた。
座席は前方四列目。眠るともなく目を閉じていると
「アッチャン、ここーここ座るのー!」
小さな女の子の声が聞こえた。
「あっちゃんはこっち。ママと一緒でしょ。
そこはパパの席。ね?」
たしなめるような母親の声と共に
「ヤダー!アッチャン一人で座れるの!」と
女の子の声がどんどん近づいてくる。
「しょうがないわね」
母親のあきらめたような声と「ヤッター!」という少女の声。
「すみません」
目を開けるとそこには声から想像していたよりも若い母親と、
犬のぬいぐるみを持った 少女の姿があった。
「うるさくするようでしたら後ろの席に座らせますので、
この子お隣に座ってもいいですか?」
「ああ。構いませんよ」
すみません。と頭を下げた母親の耳たぶで、
柔らかなピンク色の楕円のピアスが揺れた。
その横で、小さく飛び上がった少女の二つ結びの髪の束が跳ねた。
ほんの一時間足らずのフライト。
私は荷物を預け、疲れた身体をシートに凭れかけた。
座席は前方四列目。眠るともなく目を閉じていると
「アッチャン、ここーここ座るのー!」
小さな女の子の声が聞こえた。
「あっちゃんはこっち。ママと一緒でしょ。
そこはパパの席。ね?」
たしなめるような母親の声と共に
「ヤダー!アッチャン一人で座れるの!」と
女の子の声がどんどん近づいてくる。
「しょうがないわね」
母親のあきらめたような声と「ヤッター!」という少女の声。
「すみません」
目を開けるとそこには声から想像していたよりも若い母親と、
犬のぬいぐるみを持った 少女の姿があった。
「うるさくするようでしたら後ろの席に座らせますので、
この子お隣に座ってもいいですか?」
「ああ。構いませんよ」
すみません。と頭を下げた母親の耳たぶで、
柔らかなピンク色の楕円のピアスが揺れた。
その横で、小さく飛び上がった少女の二つ結びの髪の束が跳ねた。
< 1 / 18 >