ミタマシズメ
涼やかな風鈴の音が微かに聞こえる。

この15年間、何度も何度も『彼』に会いに来ようと思ってはやめ、

躊躇っているうちに、夏は幾つも流れ去った。

「…本当に…あの時、ご主人さまが私をかばって

抱きかかえていてくれなければ…

私は生き残れなかったと思っています」

「……」

「墜落した後も…ずっと『がんばれ、がんばれ』って…

手を握って励ましてくださったんです。優しい方でした。

…生きていて、ほしかった…」

声に、涙が混じる。思わずうつむいた時、玄関から声が聞こえた。

「ただいまー!ママー!」

忙しなく廊下に響く足音。振り向くと、ふすまが開いた。

健康的に日焼けした、ショートカットの、制服の女の子。
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