ミタマシズメ
「…あ、お客様?」

「そうよ、まったく…すいません、バタバタと落ち着きのない娘で…」

「…娘さん」

ふと私と目が合った少女の顔には、どことなく『オジちゃん』の

面影があった。

照れくさそうにお辞儀をして

「初めまして。アヤです」

と言った。

「アヤ…さん」

「ほら、着替えてらっしゃいな。冷蔵庫におやつあるから。

食べたら早く宿題進めちゃいなさい」

「はーい」

ふすまの閉まる音がして目を上げると、女性は立ち上がり、

スッと茶箪笥の中から何かを取り出して、テーブルに乗せた。

それは、一枚のメモ用紙だった。

「…これは、生前主人が遺したメモなんです」

え?

「でも…ご主人は…」

髪の束を後ろへ静かに払い、女性は言った。

「あなたが…糸居さんが救出される少し前まで、

主人もまだ息があったようなんです。

このメモは…彼のポケットから見つかったんですよ。

…字が乱れてますけど…」

どうぞ、読んでみてください。

そう言って、彼女は私にメモを差し出した。

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