ミタマシズメ
「でもね、いずれにせよ、これが主人から私への最後の伝言だった…

だからすぐに決めたんです。娘の名前は『アヤ』にしようって。

あんな恐ろしい事故に遭って、それでも

たった一人生き残ることができたあなたのように

生命力のある子になってほしい。

最後に主人が口にしたであろう名前をこの子につけたい。

…色んな想いを込めて、『アヤ』に決めたんです」

「ああ……」

涙が止まらなかった。

私は…今までずっと罪の意識を抱いて生きていた。

『本当に自分は助かって良かったのだろうか?』

失われた命の数とその重みを、年を重ねるごとに強く感じ

たった一人の生存者としての後ろめたさに

押し潰されそうになる時が何度もあった。

誰が責めなくとも、自分が自分を責め続け、

あっという間に15年もの月日が流れてしまった。

許されることなのか。背負い続けなければいけないのかと、

いつでも自分に問いかけ、首の後ろを強張らせながら、

必死で生きてきた気がする。
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