ミタマシズメ
手に、土のような感触がある。金属のようなものが甲に当たる。

人の…髪の毛のようなものに触れる。

少女のものかどうかは、わからない。

「がんばれ」

どこかで掠れた男の声が聞こえた。

「助けて」

女の声も聞こえた。

私は何も言葉にならなかった。

気を抜くと、一瞬で気を失いそうになる。

がんばらなくては。がんばらなくては。

私には、妻とこれから生まれてくる子供がいるのだ。

こんなところで、死ぬわけにはいかないのだ。

そう、自分を鼓舞した。
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