ミタマシズメ
「ママ…」

ハッとした。また、気を失いかけていたのか。

いや、それよりも…今のは…

「アヤ、ちゃん…」

「…」

「…アヤちゃんか?わかるか?オジちゃんだ…アヤちゃん」

「オジちゃん…どこ?…ママは?…パパは?」

「…」

すぐ、近くだ。右か。左か。必死に耳をすます。手を、伸ばした。

小さな小さな手を、探るように握った。

「…大丈夫だ。ママもパパもそばにいるよ。大丈夫だよ。

もう少しの、ガマンだ」

「うん…」

「痛いところは、ない?苦しくない?」

「…痛いし…苦しい…息が、苦しい」

「大丈夫だよ。いっぱい息を吸い込んで、吐くんだ。

がんばれ。がんばれ」

少女の、息遣いが聞こえた。

…なんとなく、さっきまでより周囲の呼吸音が減っている気がしたが、

とにかく私は少女を助けなくてはいけないと

不安にさせてはいけないと、必死で声をかけ続けた。

やがて、意識が遠ざかるまで。
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