黄金時間が過ぎるまで〜番外編
「さあ…」

「さあ…って」

「実は、いまいち分からない所がね…あ、ちょうど携帯があるから、花園に聞いてみようか?」

鳴海は千歳から携帯電話を受け取ると、メモリーと通話ボタンを押した。

″トゥルルルルル…トゥルルルルル…ピッ″

「はい、こちら花園、そちらは?」

電話の向こうから、陽気な声が返ってきた。

「もしもし、花園?鳴海だけど…」

「なっにーーー?!鳴海?!?お前どこにいるんだよ?!一ヶ月前から、メールはいくら送っても返事来ないし、会社は倒産してるし、死んでるのかと思って心配したんだぞ!!ボケ!」

まくし立てる花園の声が、千歳の耳にも届いた。       

「花園、倒産はしてないよ…というか、悪かったね…それより、千歳が聞きたい事があるから代わるよ」

「…おい鳴海、何でそこに千歳がいる訳?」

「あ、言ってなかったっけ?千歳の店で働いてるって」

「だーかーらーーっ」

音信不通だったろうお前、と言おうとして一瞬つまると、鳴海が先に言った。
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