黄金時間が過ぎるまで〜番外編
       †                      桜の花びらが舞っていた。

人けのほとんどない学生食堂に、その風景と春の風が心地良く入って来る…

入学式と新学期を同じ日に済ませ、授業は半ドンで終わっていた。

大半の生徒は下校していたが、部活動で残っている生徒や、教員のために学食は開いていた。

麺類コーナーだけが、細々と営業している…

陽の当たる中庭に面した席に座った鳴海は、今はまっているキツネうどんを食べはじめた。

ふと前の席に気配を感じると、声がかけられた。

「おいしい?」

「やあ、さえちゃん…おいしいよ」

鳴海は顔を上げ、笑顔でさえを迎えた。

「これ食べ終わったら、行こうかと思ってたんだよ、ちょっと待っててくれる?」

「うん、さえもお兄ちゃんに、お話したいことがあって来ちゃった」

「やっぱり?」

二人は目が合うと、ニヤリと笑った。
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