ありのままのキミ
「お前、学校の近くのコンビニで万引きしただろう!」
「はあ?万引き?いや、万引きするほど金に困ってねえから」
お生憎、とイヤミっぽく言ってやる。
「敬鈴の制服だったそうだ」
「だから私?どーせ勉強に鬱憤の溜まった優等生とかでしょ」
「うちの生徒でそんなことする奴はお前以外いないだろうが!!」
おいおい、万引きなんかしたことないぞ。勝手に犯罪者にするなよ。
「で。目撃者でもいるの?私と特定出来ることでもあんの?てか私さー。この通り、指定のブレザーなんか着てないから敬鈴の生徒だなんて特定出来ないと思うけど?」
規則を無視した柄のパーカーを引っ張ってそう言う。
「そんなの、脱げば何だって出来る!」
「は?ナニソレ。つーか何で疑われなきゃいけないの」
「それはお前が規則無視してるからだろう!」
「ただそれだけ?無視してるから何。無視する奴はみーんな万引きするんだ。うわ、おめでたいね」
鼻で笑えば中尾は逆上したように顔を真っ赤にさせる。
「服装の乱れは心の乱れだ!」
「んじゃあ、服装の乱れてない子は心乱れてないんだ?面白いこと言うね」
私は床に落ちてある紙くずを拾って近くのごみ箱に投げた。紙くずは弧を描いて見事にごみ箱に収まる。
「教えてあげよーか?今時ね、ニコニコ当たり障りない笑顔引っさげてる生徒の方が腹の中じゃなに考えてるか分かんねーよ」