ありのままのキミ
♢two♢
夕方ももう終わろうとオレンジの太陽が沈み、薄暗くなり始める。
今、何時だろうか。
広瀬との約束は6時半だ。だけど時計を見る気にもなれない。
フラリフラリと目的もなく、歩く。
何がしたいのか?
何処に行きたいのか?
そんなもの、私にも分からない。
とにかく、頭がボーッとして、どことなくズンッと重い気がする。
「おい、」
呼び止められて、ゆっくりと振り向く。
「よう。この前はよくも邪魔してくれたな。腕の傷は大丈夫かあ?」
ニヤニヤと汚れた歯を見せながら近寄ってくるのは。誰だ。
腕の傷を知ってるってことはこの前の?顔なんかよく見ている訳じゃないからピンとこないが傷のことからしてこの前の連中で間違いないだろう。
うまく思考の回らない頭でボンヤリそんなことを考えるがすぐにやめる。
「何。仕返しにでも来たの?」
ニヤニヤと気持ち悪く笑う男の後ろからはゾロゾロとチンピラが出てくる。
「ハッ。……いーよ。ちょうどムシャクシャしてた所だから、さ」
私が持っていた鞄をポイッと上へ放り投げるとチンピラ軍団が一斉に私に向かってきた。