ありのままのキミ
「……ハァ……ハァ……」
ドサリと壁に背を預けながら座り込む。
周りには屍のように動かなくなったチンピラ共。積み重なるように倒れ込んでいる情景はまさに地獄の図。
………さすがに疲れた。
チンピラ共、約15名。
いくら私が喧嘩が強いからといって自分より体格のいい、タフな奴を相手にするのはキツい。
さすがに無傷とはいかなくて、唇は切れてるわ、痣は出来てるわ。軽傷で済んだが。
まぁ、でも人間どんなに強くても急所と言うのは残念ながら沢山ある。
1人一発。急所に打撃を打ち込む。これが多勢に対する喧嘩のやり方だ。
すっかり辺りは暗くなっている。
あーあ。約束すっぽかしたなー。
怒ってるかな。いや、お節介ヤローだから心配してくれてるかもなー。
「…………知佳!」
幻聴でも聞こえたかと思ったが、広瀬が駆け寄ってくる姿が見えた。
その瞬間、意識が遠くなるのを感じた。
近付いてくる広瀬の姿がだんだんボヤケて──────
私は完全に意識を手放した。