ありのままのキミ
「おい、落ち着け」
「もう、いっ。帰る」
「おい、待てって!」
ガシッと広瀬は私の腕を掴む。左腕ではなく右腕なのは偶然なのか、広瀬の優しさなのか。
「何が気に食わねえんだ」
「何もかも」
「具体的に言え。分かんねえから」
「っ、もうウゼーな!関係ねぇだろ!」
腕を振り解こうとブンブンと腕を揺さぶるけど広瀬は離そうとはしない。
「親のこと言ったからか?すまん、無神経だった」
素直に謝ってくる広瀬。
その顔は真剣そのもの。
「っ、」
「知佳?」
何なんだよ………。
そんな顔されたら、私が駄々こねてる子供みたいじゃんか……。
「違う。……ごめん。ただの八つ当たりだ」
私はハァと息を吐くとリビングのソファに座りなおした。
「ちょっと親関連のことでむしゃくしゃしてて」
「……そうか」
広瀬はそれだけ言うと静かに私の横に座った。
「聞く?私のくだらない話……」