ありのままのキミ
「私さ、こう見えても小学生くらいまでは本当に出来る子、だったんだよね。
テストだって満点余裕。運動だって他のことだって大抵こなしてた」
そうだ。完璧で。誰もが憧れる人気な子。
「でも最初から出来た訳じゃない。努力して一生懸命頑張ってた。
キツくなかった訳じゃないけど頑張っていい結果出せば、みんなが褒めてくれるから。
母さんや父さんにすごいなって言われるのが嬉しくて……。まぁ、子供らしいっちゃ子供らしいよね」
褒められれば伸びるって言うけど本当だ。やる気が出てくるから意欲が湧く。
「両親は仕事で忙しかったけど私が満点のテストとか上手に書けた絵とかを見せる時だけはちゃんと偉いねって私を見てくれた。
けど、小学生の高学年くらいからかな。
前よりもっと仕事が忙しくなって、授業参観にも運動会なにも学芸会にもだんだん来てくれなくなって…………。
私はいつもイベント事は1人だった」
周りには親と手を繋いだり、抱っこしてもらってる子たちばっかりなのに。私の隣には誰もいないし、手を握ってくれる人もいなかった。
「だからもっともっと褒められることして親に見て貰おうと思った。
───けど、もう。
私が学年で一番の成績を穫っても、駆けっこで一番になっても、劇で主役になっても、賞を穫っても見てくれなくなった」