ありのままのキミ
「痛っ!」
「我慢しろ」
30分後。私は男の家であるマンションで治療を受けていた。
治療してくれるのは有り難いけど乱暴なんだよ!
「あんま傷、深くはねえな」
「だから言ったじゃん。アンタが大怪我だって勘違いしただけで」
「だからって服血まみれになる程出してる奴、放っておけるかバカが」
「……お節介ヤローが」
「可愛くねえな。ったく」
治療が終わったようで男は立ち上がってキッチンへ行く。
治療っていっても薬塗って包帯巻いてもらっただけだけど。ま、何もしないよりマシ。
「コーヒーお前も飲むか?」
「いらない。(…飲めないし)」
キッチンから投げかけられた言葉にそう答えれば、男は見透かしたように
「ガキだな」
と鼻で笑った。
言い返したかったけどその通りだし、ここでムキになる方がガキっぽいから敢えて聞こえないフリをする。