ありのままのキミ
「美味しくて有名な洋菓子店を知らないかあ?」
「そう」
次の日の昼休み。ご飯をたらふく食べてから目の前でネイルアートに集中している小学生来の友人の麻実にそう切り出した。
「んー。駅前に出来た店のマドレーヌが有名で美味しいとは聞いたけど?」
「ふーん」
駅前、か。あぁ、そういやポストに広告入ってたな。
「何?お礼したい人でもいるの?」
「っ、なんで」
麻実がネイルを乾かすため、手をヒラヒラしながらニヤリと笑う。
「ハハッ。アタリでしょ?知佳って根は真面目だからねー」
「根は真面目って」
「服装と生活態度は乱れまくってるからね」
「うっざ」
「口悪っ」
麻実を無視して机に突っ伏する。
午後の授業が始まるチャイムを夢半ばに聞きながら私は意識を手放した。