ありのままのキミ
「何が食べたい?」
車の中で広瀬が運転しながら私に問う。
結局、警備員と受付嬢にホールドされた私は帰れずに広瀬が戻ってくるまで捕まっていた。
「……天ぷら」
「お、いいな」
やけに機嫌のいい広瀬を横目に私は車内に流れている洋楽の曲名を思い出すのに集中した。
「意外だったな」
曲名を思い出せてスッキリした私の耳に広瀬の呟きが入る。
「何が」
「いや、お礼とか意外真面目なんだと思って。お前ってさ、顔は綺麗でか弱そうなのに喧嘩はするみたいだし、態度デカいし、生意気だし。でも今日みたくお礼はキチンとするし。不思議だな」
「……何?不思議ちゃんキャラ?」
「ちょっとちげー」