ありのままのキミ






それから天ぷらの有名なとこ行って(結構高そうでした)、色んな話をした。


広瀬のお父さんが会社の社長らしく、だから受付嬢が社長の方の広瀬を私が呼べって言ってると思ったみたい。


あと、広瀬は28歳で独身。

独身なのは家で治療してもらった時に分かってたけど、歳にはびっくり。もっと若いって思ってたから。





「昨日は聞かなかったけど、その傷どういう経緯で出来たんだよ」


広瀬が聞いてきたので大体の経緯を説明すると広瀬がハァと溜め息を吐く。




「お前、もう少し考えろ。警察呼ぶとかさ」


「いや、少しストレスと溜まってたし、ちょうどいいかなーて」


「馬鹿か。そんなだから敬鈴で浮くんだよ」


敬鈴とは私の通っている学校。優等生ばかりが通う敬鈴で私のようなはみ出し者は殆どいない。


何となく疎遠にされているのが分かるけど私はそれでもいい。

分かって貰おうなんて思ってないし、分かって貰いたくもない。



そんなこと思う私は相当性格がねじ曲がってるんだろう。




「つか、この茶碗蒸し激うま!」


最後に茶碗蒸しを食べたらこれが美味いのなんのって。



「これくらい、俺だって作れるぞ」


「は?料理出来んの?」


「一人暮らし長いからな」


「嘘だーっ。絶対嘘」


「嘘付かねえよ。何ならこれより美味いの作れる」


「本当ね?じゃあ、今度作ってよ。食べてやろーじゃん!」


「おお、上等だ」




最後は喧嘩腰になったけど会計は広瀬が済ましてくれて、帰りも送ってくれた。


広瀬の仕事の都合もあり、約束は来週の月曜日になった。





茶碗蒸し、期待しとこーじゃないの。



 


 
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