あたしを食べてよ、狼くん。
やれやれ、という風にケイが首をふり、
俺を説得するかのようにこう言った。
「…勇斗、よく考えてみろよ。
お前、あんな純な子数十分で……
いくらなんでも、ひどすぎるだろ。
どうせまた、なりゆきだろ?
おふざけだろ?
本気で付き合ってんじゃねぇんだろ?」
「いや、断然本気なんだけど」
「うん。
そういうウソ、よくないと思う」
「だから、ウソじゃねぇって。
俺アイツのこと好きだよ」
いつの間にか。
好きになってた。
それに気付いたのは、真依がこけたとき。
俺何やってんだって、本気で思った。
なんでもっと注意しとかねぇんだって。
すりむいた真依のヒザは痛々しくて。
自分の気持ちに気付けなかった俺に、腹が立った。