人な私と機械な君と
 学校の授業が始まっていく__。

突然ですがこの学校の時間割は他の学校とは異なっています。朝、1から3時間目までの授業があり昼食を挟んで4、5時間目の事業を受けます。何故そんな時間割になるのかというと大学並の移動距離があるので予鈴も合わせて休み時間が25分もかかってしまうからです。そして、何故そんな前置きを入れたかというと[ある人]と出会う頻度について話したいわけで・・・・。

「はい、教科書の24ページのベクトルの問題。宿題だったよな?じゃあ、林。」

「はーーーーいっ。」

林くんはそう返事をして黒板に問題と解答を書き連ねていく。林くんは勉強だけなら上位クラスに入れる程の頭の持ち主だったりします。

林くんは宿題をやってきていないのでその場で問題を解いていく。

「はい出来たっ!」

先生が林くんの解答を見ていく。

「よし、正解だ。あと宿題は前もってやっておくように。」

「ええ?先生、解けたんだからいいじゃないっすか。」

「解いたものを書くのと解きながら書くのとでは時間が違うだろ?まぁ・・・学年1位の[海堂(かいどう)]なら話しは別になっていくが・・・・__。」

そう、海堂くんです。学年1位の頭脳を持つ海堂くんは特別進学のクラスにいます。A~Dまでの特待生クラスの人達はまず普通のクラスと違って校舎が違います。普通進学の1年生は東校舎、私達2年は北校舎、3年生は西校舎となっています。しかし、1,2,3年生の特待生クラスは中庭と講堂を挟んで別館とも言ってもいいのですが南校舎に教室があります。私達のクラスは移動授業の時でも南校舎に行く事はないので、まず海堂くんに合う事がありません。

いろいろあって海堂くんと滅多に出会わないのは正直ホッとするけど・・・、盗み聞きしてた事は謝らなくちゃな。


そして私は教室と言いましたが、特待生のクラスは教室というよりかむしろ大学の講義室に近いです。やはりエリートさん達と普通クラスの私達とは施しが違い過ぎるなと思います。あとは特待生クラスの人は登校時正門ではなく反対側の裏門を使うことも許可されています。

「海堂めぇ、あいつをあっと驚かせてやりたいところだけど会うことがねえからなぁ。」

上杉くんは腫れた頬を摩りながブツブツと呟いている。

「いいか上杉、この学校の期待の星には絶対に手をだすなよ。」

「へいへい、てか俺だってあんな遠いとこまで足を運ぶのはごめんだっての。」

「せんせぇー。」

朝にお尻を露出させられていた美馬くんが大きく手をあげる。

「どうした、美馬?」

「康太はD組の伊藤さんに会うためによく遠いとこまで足を運んでまーす。」

「あぁ、何でバラすのさ!?」

「上杉・・・。」

にやりと美馬くんの口角が上がる。多分朝のお返しだろう。

「ち、違うって先生!誤解だよ誤解!!」

「何がだ?」

「ただ俺は伊藤さんに会いに行ってるんじゃなくてたまたまでしてね。」

「上杉はたまたま南校舎という遠い場所に行くのか?」

「そうなんすよ!たまたまだってぇ!俺が中庭に出てみると何処からかいい臭いがしてくるわけですよ。その臭いをたどってみるとまあなんと[たまたま]南校舎に来てしまって[たまたま]そこに伊藤さんがいるだけなんです!それで伊藤さんがいい臭いを発していることが分かるわけです!その臭いが何なのか気になってしまいその臭いをどうやって伊藤さんが放っているのか俺は聞きたい!そこで俺はどこのシャンプーやセッケンを使ってるの?とか、どこのブランドの香水使ってるの?と質問することを決めて伊藤さんに話しかけるチャンスを伺っているだけなんです!!」

上杉くんは言ってやったぞ!と言わんばかりにドヤ顔を決めている。

「要するに・・・あれか・・・?遠い場所から伊藤の臭いがしてその臭いがあまりにもいい臭いだから後を付け、伊藤が1人になるのを影から監視しているということか・・・・・?」

先生は苦い顔をしながら要点をまとめて確認する。

「まぁ、そんなところっすかねっ・・・。」

澄ました声で返答をする上杉くん。

「上杉・・・、そういう行動をとる奴らのことをなんと言うか教えてやるから後で職員室にくるように・・・。」

「あれぇっ?」

教室に笑いが広がっていく。上杉くんと先生の口論が始まるなか後ろの席からとこちゃんが話し掛けてきた。

「なぁ美鈴、今日もあんたは弁当だろ?」

「そうだよ。」

「今日私自炊するの忘れちゃってさ、悪いんだけど食堂で食べないか??」

「えっ・・・・?」

思わず私は疑問形で返事をしてしまう。

「ちえはどうするよ?」

「私は・・・__。」

とこちゃんがちいちゃんに一緒に食堂で食べることを勧めているなか、私は正直迷っていた。食堂は何百人という生徒達が賑わう場所です。そして私達はよく噂されます。その噂はいいものとは思えません。悪い噂をされて喜ぶ人はいません。その上私は人ごみが大の苦手で見られてると思うとだけで畏縮してしまいます。つまり、そう言うことです・・・・。

「__そっか、部活があるんじゃ仕方ないよな。その、美鈴はやっぱり人ごみは無理か・・・?」

私は大きく顔を横に振る。

「ううんっ、1人じゃ嫌だけど・・、とこちゃんがいるから・・・・。」

「そっかっ、んじゃあ悪いけどサンキューなっ。」

とこちゃんがそう言って満遍の笑みを私に向けてくる。

そう、とこちゃんがいるからきっと大丈夫・・・・・。きっと・・・・・__。
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