テントウ虫は、いつだって
「…って、いやいやいや。アンタら人間だから。カップルにしか見えないからね?!」

「どこがだ?」

「カップルだなんて…別に付き合ってませんよ?」

「だーかーらーっ、そんなイチャコラブついてたらカップルにしか見えないの!!見てるコッチが恥ずいわ!!」

「「??」」



無自覚なところがまた恐ろしい。イチカは未だコタの頭を撫で続けている。



「それに俺、フラれましたもん」

「えっ!何それ?!初耳なんだけど!」

「まぁ、言ってないからな。……でも、あれってフったことになるのか?」

「なるんじゃないんですか?現に俺ら、付き合ってませんし、」

「ちょ、ちょいちょい!!勝手に話続けないでよっ、私にもその話詳しく聞かせて!!」



詳しく、を強調するイチカの親友【マミ】を見やって、イチカとコタは顔を見合わせると急に立ち上がった。



「そうか。ならあの時を忠実に再現するための劇でもしよう」

「そうですね。それが一番手っ取り早いですし」



お互いの顔を見やっただけでそこまで読み取れるのか。まさに以心伝心。



「それじゃあ始まるよ。あん時の思ひ出~二人の生徒~」



鼻声でイチカが棒読みでタイトル+サブタイを言うと、いつの間にかマミの他にも観客が来ていた。


なんだこれ。

< 9 / 17 >

この作品をシェア

pagetop