TRAP!
二人で外へと抜け出して。
肩を並べて歩きながら…
私は、仲間にメールを送る。
浮気現場の動かぬ証拠を…手に入れる為に。
「………。アンタ、何考えてるの?」
一定の距離を保ったまま、ワタリが話し掛けてくる。
「……え?」
「どう見ても、楽しんでいるようには見えなかったし。」
「……アンタこそ…。つまんなそうな顔しちゃって。何の為に来たのよ。」
わざわざ、彼女に誤解されるようなこと…しなきゃいいのに。
「………。一ノ瀬に会えたし、いいじゃん、別に。」
「え……?」
その途端……、
「ちょっとこっち…!」
ワタリにぐいっと肩を掴まれ。体を反転させられると……、
そのまま強引に手を引かれて……、路地裏へと連れこまれた。
「…俺ら…、誰かにつけられてる。」
「えっ……?」
わざと驚いて見せるけれど……。
その正体は…わかりきっている。
ワタリは「しっ。」と人差し指をたてて。
それから……、
「…じっとしてろよ。」
一気に…唇を塞いだ。
「……………?!」
計算外なことが…
起きてしまった。
私はワタリの胸を叩いて、必死の抵抗を試みる。
力では……到底敵わない。
ようやく、解放されて……
互いに呼吸を乱しながら、見つめ合った。
「……やめてよ、私、今…付き合ってる人がいるの。」
「………。…うん。」
「アンタだって…そうでしょう?!」
騙そうとした…罰なのか?
何かが、自分の中で……
狂い始める。
今のキスで…証拠は撮れたのだろうか……?
近くに、調査員は……
「……何、キョロキョロしてんの?」
「……え……?」
「ここには、俺ら以外に…誰もいない。」
「……………。」
「何か…、気になることでもあるの…?」
「………何でも……、ない。」
「……じゃあさ…、続き…、しよっか?」
「は……?」
じわり、じわりとワタリは近づいてきて。
私はビルの外壁へと…追いやられる。